便秘は若い人から年配の方まで、特に女性が多く悩んでいることが多いと思います。
最近では子供の便秘も多くなっているようで、病院の薬でも小児の便秘の適応症を取った便秘薬が出始めています。
◎便秘とは
以前の日本内科学会では『3日以上排便がない状態、または毎日排便があっても残便感がある状態』されています。
近年では慢性便秘症診療ガイドラインが発表されて、『本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態』と定義されています。
この慢性便秘ガイドラインであれば、本人が快適に排泄できていると感じる場合3日や4日でなくてもいい場合も考えられます。
しかし、漢方の場合は排泄は毎日あることが望ましいものと考えます。ただし、食事量や運動ができる前提ではあります。
年配や若い子供やその人の条件によっても例外はありますので、その人にあった体質でのお薬を飲んでいただくことが理想的です。
便秘の種類
便秘には,大きく分けて3種類あります。
・弛緩タイプ・・・食事量が少なかったり、運動不足や加齢などによる腹筋力が低下などで、腸管の刺
激が少ないために起こるタイプ。便が固くなるような場合になります。
・痙攣タイプ・・・精神的ストレスや過敏性腸症候群により大腸の動きが悪くなっているタイプ。
これは便秘や下痢を繰り返す場合になります。
・直腸タイプ・・・便意を我慢したり、下剤や浣腸の乱用で直腸の感覚が鈍くなってしまうタイプ。
これは便が直腸に停滞する場合になります。
※ この他に器質性便秘と言われている、大腸や直腸の腫瘍、腸の癒着、痔などの疾患が原因で便秘になることがあります。
◎漢方での便秘薬
漢方薬での便秘薬について、いくつか記載させていただきますが、ご体質や症状によっ
て、お使いいただく漢方薬が変わってきます。
石崎薬局では、その方のご体質に合わせて、お出しさせていただいております。
これらは一例です。
●麻子仁丸
[効能・効果]
体力中等度以下で、ときに便が硬く塊状なものの次の諸症:便秘、便秘に伴う頭重・のぼせ・湿疹・皮膚炎・ふきでもの(にきび)・食欲不振(食欲減退)・腹部膨満・腸内異常醗酵・痔などの症状の緩和
[用法・用量]
次の量を1日3回食前又は食間に水又は白湯にて服用。
年齢 1回量 1日服用回数
成人(15才以上):4錠:3回
15才未満:服用しないこと
●調胃承気湯
[効能]
便秘
[用法・用量]
1日2回食前又は食間に水又は白湯にて服用。
成人(15才以上)・・・1包
15才未満7才以上・・・2/3包
7才未満4才以上・・・1/2包
4才未満2才以上・・・1/3包
2才未満・・・1/4包
●通導散
[効能]
比較的体力があり下腹部に圧痛があって便秘しがちなものの次の諸症:
月経不順、月経痛、更年期障害、腰痛、便秘、打撲、高血圧の随伴症状(頭痛、めまい、肩こり)。
[用法及び用量]
通常、成人1日12.0gを2〜3回に分割し、食前又は食間に経口投与する。
なお、年齢、体重、症状により適宜増減する。
◎他の食養生や注意点
日常での食養生や注意点
・油・・・上記の主成分になっている麻子仁という生薬は脂肪油が含まれている果実です。また、水分も低下するとコロコロと固い便になることもあるので、適度な油や水分が望ましいです。
・運動・・・運動することにより、腸が活発になりやすくなります。
・食物繊維・・・食物繊維には水溶性と不溶性のものがあります。前者は水分を保持することで便を柔らかくします。後者は消化されず便の量を増やします。水分を含まないため、摂りすぎると便が硬くなり逆に便秘になることもあります。
・よく噛んで食べる・・・よくかむことで消化の負担を軽減できだけでなく、腸も活発になりやすくなります。
・睡眠・・・夜寝るのが遅いと、体の潤いが不足して便が固くなったり、動きが悪くなることがあります。
・冷たい物・・・夏など外の気温が暑い時に冷たいものは必要ですが、冬などにも冷たいものを飲む機会が増えている場合には腸の動きが悪くなることもあります。
ただし、便秘にはいろいろな種類やタイプがありますので、養生のやり方が注意が必要な場合がありますので、ご注意ください。
便秘といっても、いろいろなタイプや症状がありますのでお困りの方は一度ご相談ください。
石崎 健一