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男性不妊

昔は不妊の原因は女性が多く関与していると考えられてきました、。しかし、最近では不妊の原因は女性側の問題の他に、男性側の問題も指摘されるようになりました


*WHOが精液検査の基準が10年ぶりに変更になり、下記の基準が示されています。
〈WHO(世界保健機構)の精液検査正常値(2021年)は、精液量1.4ml以上、精子濃度1600万/ml以上、運動率42%以上、正常形態率4%以上とみなしています。〉(抜粋)


 原因として精子の量が少ない、運動率が低い、形が良くない(奇形率)など、質の良い精子が作れないなどの他に精子が通る管が塞がっている場合、射精や勃起が出来ないなどがあります。
 病院での検査結果で悩まれる男性も多数いらっしゃると思いますが、これらの障害は漢方の服用による体質改善ができるものもあります。

漢方での男性不妊について
 原因はいろいろとありますが一例をあげさせていただきます。

1.男性不妊の場合に漢方で一番重要な所として「腎」を考えます。
ここは生殖機能を関与していて、これを管轄しているといわれている場所です。
他にも「腎」は水分代謝、成長、老化、免疫機能など生命の源のようなものと考えます。
この腎の力が弱くなると、精子量の減少、運動率が低い、形が良くないといった質の悪い精子になりやくすくなってきます。
 加齢に伴う変化は東洋医学の教科書と言われる「黄帝内経」にも記載されていて、「男性は8の倍数」の年齢の時に節目を迎え、体に変化が訪れるという記述があります。そのため32才以降(特に35才以降)からは腎の衰えが出始めるとも考えます。

 腎の機能の低下は生殖機能の低下とも考えられるので、腎が弱くなると精を蓄えておく力が低下し、精子をつくる力が低下します。
 漢方では腎を強化することにより、質の良い精子を作れるようにバックアップしていきます。
2.人間は腎が衰えると精が低下するため、これを補うために食事から補う精、つまり、「後天の精」があります。

この後天の精は食事により補われ、その後、気や血に変化していくと考えられます。食事量や食事の偏りなどにより精が不足すると、気や血が少なくなり、元気がでないや疲れるなどの症状がでることもあります。精は気や血に変化されるため、食事を消化できる胃腸が重要になります。
3.最近の要因として、ライフスタイルの変化に伴い、夜遅くに食事をすることが多くなったり、仕事が激務により夜の食事後にすぐねてしまったりする場合もあると思います。
食べ物が消化するまでには、口→胃→腸に至る過程に長い時間を要し、腸まで届いてから睡眠をとることが理想的です。しかし、夜遅い時間の食事が続くと胃に負担がかかり、睡眠にも影響します。
精子の運動率や形などは「睡眠や胃腸の消化力」なども関連があり、質の良い精子を作るうえで重要な項目になります。


漢方薬は??
原因としては仕事の疲労が溜まっていたり、虚弱体質であることが多いため、疲労改善の漢方や消化不良和らげる漢方を用います。下記が一例です。

参馬補腎丸(じんばほじんがん)
[効能・効果]
虚弱体質、肉体疲労、病中病後、胃腸虚弱、血色不良、食欲不振、冷え
[用法・用量]
年 齢    1回の服用量 1日の服用回数
大人(15歳以上) 8丸    2回

至宝三鞭丸(しほうさんべんがん)
[効能・効果]
滋養強壮、肉体疲労、虚弱体質
[用法・用量]
年 齢 1回の服用量 1日の服用回数
大人(15歳以上) 8丸    3回


加味平胃散
[効能・効果]
体力中等度で、胃がもたれて食欲がなく、ときに胸やけがあるものの次の諸症:消化不良、腹部膨満感、食欲不振、胃腸虚弱、急・慢性胃炎
[用法・用量]
年齢      分包剤1回量 大入り剤1回量  1日服用回数
大人(15才以上)  1包    2.0g     3回
15才未満7才以上   2/3包   1.3g     3回
7才未満4才以上  1/2包    1.0g     3回
4才未満2才以上   1/3包    0.7g      3回
2才未満       1/4包    0.5g以下   3回


日常での食養生や注意点
●精巣(睾丸)を温めすぎないようにする。
精巣が精子を作り出す環境として、体温より低い状態が良いとされています。そのため、精巣を温めすぎないように気を付けましょう。
●タバコや飲酒は控える
喫煙されている方は、精子の減少、精子の奇形率の増加やそれに伴う直進率の低下が起こります。また、アルコールも飲み過ぎると悪影響になる場合があります。
●バランスの良い食事を意識する。
精子の数を増やし、運動率を上げる栄養素は、ビタミンの他にも微量元素(セレンや亜鉛など)が必要です。栄養素は特定なものを接種するのではなく、バランスよく食べるのが重要です。
●ストレスをため込まない
過度なストレスにさらされ続けると精子の運動率が低下したり、量が減ったりします。ストレス発散のために運動や趣味などでストレスを発散しましょう。

他にも要因等の原因はある場合はあります。気になる方や心配な方は一度ご相談ください。

石崎薬局
石崎 健一